モモ

モモ

 

今日は、ずっと読んでいた本「モモ」について。

 

 

 

これだけ学びに満ちた、楽しく優れた物語について、一回の書評でどうこう言うのは難しいし、また軽々しいな、とも思います。

 

なので、本当は「皆さん、読んで下さい」で終わりがいいんですけど、そういうわけにもいかないので、ちょっとだけ内容に触れてみます。序盤にすごく良いセリフがあるんでです。そこだけ抜粋してみますね。

 

まさにこういうことだよな・・・と感じました。

 

 

人の話を聞く天才である少女・モモと、町の掃除夫のおじいさん・ベッポとの会話のシーンです。

モモは、このおじいさんに限らず、人々の話をただ聴いているだけなのですが、それ故、しっかりその相手と向き合い、結果的に人々の中にある考えや感情を見事に引き出していきます。私も見習いたいです。

 

「なあ、モモ、」とベッポはたとえばこんなふうにはじめます。

 

「とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。」

 

しばらく口をつぐんで、じっと前の方を見ていますが、やがてまたつづけます。

 

「そこでせかせかと動きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息がきれて、動けなくなってしまう。道路はまだのこっているのにな。こういうやり方は、いかんのだ。」

 

ここでしばらく考えこみます。それからようやく、さきをつづけます。

 

「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな? つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」

 

またひと休みして、考えこみ、それから、

 

「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」

 

そしてまたまた長い休みをとってから、

 

「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからんし、息もきれてない。」

 

ベッポはひとりうなづいて、こうむすびます。

 

「これがだいじなんだ。」

 

(ミヒャエル・エンデ著 「モモ」より抜粋)

 

 

 

これは、主題である「時間泥棒」の話とは直接の関係はないのですが、いいセリフですよね。こんな感じで、生きていく上で大切なことが、物語の随所に散らばめられています。

 

私もそうですけど、どうしてもすぐに結果を求めてしまうのが現代の私たちの姿だと思います。「辛抱強く待つ」とか、「日々淡々とやり続ける」といったことが出来ない体質になってしまっていると思います。

 

でも、大切なのは「目の前のひと掃き」なんですね。

 

 

 

いろいろ気付かせてくれる物語です。ちょっと長めなので、子どもたちは敬遠したくなるかもしれませんが、大人になる前に読んでおいた方がいい。もちろん、大人の皆さんも!

 

 

スパーク文庫に入れておきます。

最新のラインナップはこちら。

https://booklog.jp/users/sparkkobetsu