よく子どもたちに「小説を読むといいよ」なんて伝えてます。
主な理由としては二つあって
・描写を具体的にイメージする力がつく(=脳にプラス)
・優れた表現や人生観に触れて、自身に取り入れることが出来る(=語彙力、メンタルにプラス)
ここ数日読んでいたのが、こちら。面白かったです!
私が買ったのは文庫本なので、こちらの表紙ですが。
若干、大人の会話が混じってくる作風なので、子どもたちに勧めるのは微妙な線ではあるのですが、でもまあ、中学生ならもう読ませちゃってもいいんじゃないかな? と思います。何より、面白いので。スパーク文庫に入れちゃいますね。
ここでストーリーに触れることはしませんが、前述の「小説を読んでほしい理由」二つのうちの後者について、この「卵の緒」を通して説明してみましょう。
自分の中からは決して出てこないだろうな、という優れた表現や、「こういう考え方もありだな」と人生観の選択肢を増やしてくれる表現。それらが、この「卵の緒」の中にもちょくちょく出てきます。
自分は捨て子なんじゃないか、いや、そうに決まっている・・・なんて疑いながらも、お母さんととてもいいコンビの小学5年生の男の子。彼がお母さんについて思う場面の描写に唸らされました。
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母さんはどんなに降水確率が高くても、家を出る時に大雨が降っていない限り、傘を持たない。
「どうなるかわからない先のことのために、あんな重いもの持って歩けないし、雨ってわざわざ傘で防がないといけないものじゃないでしょう」というのが母さんの持論だ。だから、母さんはしょっちゅうずぶ濡れになって帰ってきた。僕は風邪をひいたら困るし、朝の天気予報で降水確率が50%を超えたら必ず傘を持っていく。でも、これくらいの雨はちょうどいい。濡れるほうがきっといい。
夕暮れでも海でも山でも、とことんきれいな自然と一人じゃないって確信できるものがある時は、ひとりぼっちで歩くといいのよ。母さんの言うとおりだ。ポケットの中で猫のおはじきをそっと握りしめて、僕は雨を連れて家に向かった。
(瀬尾 まいこ著 「卵の緒」より抜粋)
様々な情報に踊らされ、いつも先のことを心配しながら生きている私たちに「どうなるかわからない先のことのために・・・」と少年の母親が伝えてくれています。そして、少年は「雨を連れて」帰宅するのです。
たったこれだけの短い文章の中にも、ちょっとした人生観と、普通はなかなか出てこない素敵な表現が詰まっているんです。
小説を読みたくなりませんか?(笑)
今日の一曲。
デヴォン・ウィリアムス。今まで未聴だったアーティストなのですが、新作を聴いて気に入りました。
こういう線の細い爽やかなギターロックというのは、80年代のイギリスから雨後の筍のごとく次から次へと出てきたものなのですが、今はこういう音楽がアメリカ勢から登場することに驚きです。
きっと、「UKロックはこういう音、USロックはこういう音」なんていう境界線がなくなってきて、今は何でもありの時代になっているんだろうな、と感じます。
新作の一曲目、疾走感あふれるナンバーを。鐘のように鳴るギターと甘いヴォーカルが印象的です。