小学校教科書改訂は破壊力充分!

小学校教科書改訂は破壊力充分!

 

本日2回目の更新。

 

 

今日の午前中は、ソニックシティで入試情報セミナーに参加してきました。

 

 

埼玉県は、いよいよ明日から私立高校入試が始まるとあって、中3生たちも今日は緊張の前日でしょうか。ここから県公立入試まであっという間に時間が過ぎ去っていきます。

 

今日のセミナーは、その高校入試の直前情報もあったのですが、話のメインはそこではなく、新年度の小学校新学習指導要領改訂について。つまり、この春から小学校の教科書が変わるという話。

 

 

現場の先生たちでさえ、実物をまだ見ることが出来ていないであろう新しい教科書を、今日のセミナーで一足早く、我々学習塾の先生たちが見てしまいました。役得ですね、ありがたいです。

 

 

 

差し支えない範囲で、今日のセミナーの内容を列挙しておきます。小学生のお子さんのいる御家庭にちょっとでも響けばうれしいです。

 

 

まず、世間でさんざん話題になった通り、大学入試の改革がありました。それに合わせて、高校以下も変わっていくわけですが

 

大元、出発地点である小学校の指導要領も、この春から変わるわけです。

 

まず「社会に開かれた教育課程」として、柱となるべき指針が三つ提示されています。

 

・生きて働く「知識・技能の習得」

 

・未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等の育成」

 

・学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等の滋養」

 

 

 

一番目のは、昔から続く基礎の部分。新しい時代に要となるのが、残り二つかな、と思います。

 

 

 

 

今回のセミナーで、特にインパクトがあったものを5点ほど。

 

 

 

インパクト1つ目 

「デジタル教科書」の登場

 

教科書のいたるところにQRコードがあり、それをスマホで読み取れば、動画や音声を展開することが出来るのです。

 

例えば、英語。小学校の先生たちが最も苦痛に感じていることの一つが

 

「英語が正式な教科として4月から始まること」なのだそうです。つまり、「発音に自信がない」という先生が多い、と。

 

今までほとんど教えてこなかった英語を、いよいよ本格的に指導しないといけない。下手したら、英会話を習っている子どもたちの方が、よっぽど発音が上手かったりするわけです。これは憂鬱ですよね。

 

その上手な発音を、このデジタル教科書で聴くことが出来ます。これで多少は先生たちのプレッシャーが軽減されるかもしれません(笑)。

 

今日のセミナーでは、他にも火山の噴火の動画もデジタル教科書で紹介されました(会場の環境の不備で音が出なかったのが残念でしたが)。

 

すでに「各家庭にネット環境があるかどうか」のアンケートを取って、このデジタル教科書に備えている都道府県もあるようです。埼玉県はどうなのでしょうか? 

 

デジタル教科書が使えない御家庭には、学校がプリントアウトでもして対応するのか? あるいは、スマホを持たない子にタブレット等が無償で提供されるなんてことになるのか?(それはないと思いますが) 

 

まだまだ不透明な部分も多いのですが、デジタル教科書の登場が、いろんな意味で大きなインパクトを与えるものであることは間違いないでしょう。

 

 

 

 

 

インパクト2つ目

国語に「情報の扱い方」が新設

 

国語の教科書のあるページに、話題の「SDG’s」や「フェア・トレード」などに関連する資料が並んでいます。円グラフだったり、表だったり、いろいろあるのですが

 

それらの資料を読み取り、自分の考えを文章で表現したりするのです。

 

パッと見たところ、国語ではなく社会科の教科書にしか見えないという衝撃(写真を紹介できないのが残念)。でも、れっきとした国語の教科書なんです。他にも、都道府県名すべてを漢字で書かせるなど、ここでも国語と社会科がコラボしているような印象を受けます。

 

今、高校入試や大学入試においては、複数の教科が融合した総合問題のようになってきています。小学校の教科書も、必然的にいろんな教科が絶妙にリンクした内容になってくるわけです。

 

 

リンクしていると言えば、こんな問題も・・・理科の教科書に載ってたんですけど

 

「菜の花や 月は東に 日は西に」

 

江戸時代の歌人の与謝蕪村がよんだ俳句ですが、この俳句をよんだときの月は、どんな形だったと考えられるか、説明してみましょう。

 

 

 

太陽と月の位置関係から、月の見え方を考察させるのです。国語と理科のコラボという感じで、これは新鮮な驚きがありました。

 

 

 

 

 

インパクト3つ目

算数の「データの活用」

 

中3生が高校入試に向けて勉強している数学の単元に、資料の活用があります。その中で出てくる「最頻値」「中央値」といったところを、今度は小学校で習うことになります。

 

まあ、これは時代の流れに合っているかな、とも思いました。例えば、よくニュースで「平均年収」とか「平均貯蓄額」とか出るじゃないですか? でも、平均値なんていうのは、ほとんど意味を為さないことぐらいは、多くの人がわかっていることですよね。

 

実際には、平均のゾーンは空洞で、それより上か、それより下かに二極化しているのが今の日本の実態だからです。そういう意味では、最頻値や中央値という考え方を、小学生のうちから身につけるのはとても大事なことだと思います。

 

なお、算数は一学年当たりの練習問題数が大幅に増加しています。子どもたちもけっこうハードに感じるかもしれません。

 

 

 

 

 

インパクト4つ目

「今日的な題材」が大幅に増加

 

持続可能な開発目標=SDG’s などは、すべての教科に登場しています。これを筆頭に、AI=人工知能や、SNS=ソーシャル・ネットワーキング・サービスなど、令和の時代においてはもはや「当たり前」となる分野が、社会科の教科書中心に、至る所に盛り込まれています。今の時代に即した内容なので、子どもたちも興味・関心をもって授業に臨めるという意味では良いと思います。

 

ただし、大事なのはそれらについての「自分の考え」を持ち、なおかつ、それを「自分の言葉で表現できる」ことになってきます。月並みな言い方になってしまいますが、やっぱり最後は国語力なんだな・・・という思いを強くしました。

 

 

 

 

 

インパクト5つ目

間違いなく、英語で格差が広がる

 

最大の衝撃は「英語」であることは、皆さん何となく想像がつくのではないでしょうか。

 

既に「学校の英語はよくわかんない」という声を小学生たちから聞くことも少なくありません。それが、正式な教科となり、評定もつくことで、新教科書の内容も、何と言うか・・・もう、スゴイです(ネガティブな意味で)。

 

一切の文法用語を使わないのが、小学英語の大原則。文法用語を使わずに、動詞の過去形やら動名詞やらが容赦なく登場する英文を学んでいくことになります。

 

これ、子どもたち以上に先生たちが大変。ホント、どうすんの!? って感じ。

 

と、言うか、かなり無理があることを、理想だけで突っ走って押し切っているような・・・。

 

そもそも、英語以前に日本語もままならない子たちが世の中の大半なのに・・・英語より国語力の強化でしょ、とも感じてしまいます。

 

 

今日のセミナーで紹介されたページには、さまざまな職業を表す単語がズラリと並んでいるページがありました。はっきり言って、中学生も知らない単語がたくさん入ってます。vet =「獣医」 とか、中学生でも知らないんじゃないかな・・・。

 

 

もちろん、単語を覚えるのが目的ではないので、「何となく英語に親しむ」という意味ではアリなのかもしれませんが、今までの教科書「We Can!」と比べると、単語も例文も量に圧倒されてしまうこと間違いなし。

 

セミナーでは、何人かの有識者の声も紹介されていました。

 

「各教科書は理解しやすいように漫画を活用するなど工夫をしているが、疑問文や過去形もあり非常に内容が盛りだくさんで、子どもたちが混乱する可能性はある。教科となって成績がつけられるなか、自信をなくし、英語嫌いな子どもたちが出てこないか心配だ」(鳥飼玖美子)

 

「読む・書く」が加わり、単語数や文型も多く、先生も子どももこなしきれないのではないか?」(大津田紀雄)

 

「英語教室や塾で学ぶ子と、学校だけの子の間での英語への慣れの二極化が、さらに広がるだろう」(山下知子)

 

 

国としては、「世界で活躍する人材・世界との競争に勝てる人材・国際化の波に対応できる人材」 みたいなものを想定しているのだと思いますが

 

前々職の時代に、英語科主任として、子どもたちの英語の指導や英語の先生たちの指導、教材の作成などを通して受験英語と深く関わってきた私から言わせてもらえば

 

「文法的な土台をしっかり教えることなしに理想だけ追求しても、正直、かなり厳しいのでは?」と思います。

 

もちろん、やってみなければわかりませんし、決まった以上はやりながら改善していくしかありません。文科省も現場の先生たちも、きっとそのつもりでしょう。

 

それに、文法の本格的な学習は中学に行ってから。小学英語では、何となく語順の感覚がつかめて、よく使われる会話文が身について、これが動詞だよ、名詞だよって何となくわかればいい・・・というのが上の方針なんだと思います。べつに 100%じゃなくていいんだ、と。

 

そう考えれば、それほど深刻に考える必要もないのかもしれません。

 

ただ、それもいざ始まって様子を見てからでないと、何とも言えません。

 

 

私も、塾としてどんなことが出来るのか? どんな役割が必要とされるのか? そういったことを見極める必要があると感じています。

 

何より、英語嫌いを生み出さないことが重要。そのために、ますます学習塾の役割がカギになってくると確信したセミナーでした。

 

 

 

 

 

 

・・・と、いうことで、だいぶ長文になってしまいました。私が感じたことをまとめると

 

「狙っている路線は確かに素晴らしい。しかし、それ以前に基礎学力とか日本語の習得が最優先である子たちがたくさんいる、というのが現実なのに対して、教科書だけがどんどん進化してしまっている、という見方が出来るのも事実」

 

 

新しい波に乗りつつも、結局は基礎的な知識・解法をしっかりマスターさせることも同時進行でやっていくことが大切。そう感じているところです。

 

 

 

 

さあ、明日から私立高校入試! 中3生たちの健闘を祈ります。

 

 

 

 

 

埼玉県坂戸市にっさい花みず木4丁目8-1 SONNE BLDⅥ 2階