学習塾対象の学校説明会がオンラインや会場でスタートしています。
今日は、ある説明会会場で起きた出来事をシェアしたいと思います。またも北辰テスト@Home 絡みの話題なので、皆さんはもう、うんざりだと思うのですが・・・。
私も、今日は別のテーマで書くつもりでいたのですが・・・
「それはあんまりじゃない?」 と何十年かぶりに不快な思いをした出来事だったので
人の振り見て我が振り直せ、という意味も込めて書かせていただきます。
その説明会自体は素晴らしいものでした。会場入口では検温も実施され、席もソーシャル・ディスタンスが保たれて、コロナに関してはもう何の心配もない状態。先生方の真摯なお話しもあり、滞りなく終了しました。
最後に「質疑応答」の時間になり(私は、これ要らないと思ってますが)、ある塾の先生から、こんな質問が出たのです。
「6月・7月の北辰テストの数値も参考に見るということでしたが、その公平性についてはどうお考えなのでしょうか?」
説明会本編での高校側の話では
「自宅受験ということもあり、数値をそのまま採用することはしません。ただ、意欲等を考慮させていただきます」
といった感じでした。まあ、高校側としても、現時点ではこれが精一杯の誠実な説明だったと思います。
質問を受けた高校側の先生は、前述の質問を受け、本編と同様の説明を繰り返したのですが・・・
質問した先生は「それでは何ら具体性がない」とバッサリ。
彼が言う「具体性」というのは
「9月以降に北辰テストが正常化した場合に、自宅受験との差をいくつに設定するのか?」みたいなことなのですが
いやいや、そんなの高校側だって答えようがないよ・・・というのが私の正直な感想。
困った高校側は
「自宅受験であっても、6月・7月に北辰を受けようとした『意欲』を考慮してあげたいと考えています。少しでも良いところを見つけてあげて・・・」
みたいな説明を繰り返したところ、質問者の先生は
「それがなぜ『意欲』になるのか? 今回受けていない子たちの中にだって、意欲のある子はいますよ!」
と語気を強めて詰問したのです。
ついには高校側の先生も答えに詰まり、会場が凍り付いてしまったのでした。一瞬でしたが、イヤな時間でした。
「御指摘いただいたことに関してはありがたく受け止め、いったんお持ち帰り・・・持ち帰らせていただいて、再度検討させていただきたく・・・それでいかがでしょうか?」
と、しどろもどろになりつつ、精一杯の対応。
いやあ、よく乗り切った! エライぞ!(←何様?)
ここからは私の個人的な感想です。
高校側の本音は、これなんですよ。
↓
自宅受験の北辰テストは正式なデータとしては認められない。ノーカウント。
これについては、最近のブログでも私がお伝えしてきた通りです。もう、これが私立高校側の本音なんですね。
でも、さすがにそれを公の説明会の場でそのまま言えないじゃないですか? なぜなら、集まった塾の先生たちのバックには、今回がんばって勉強して初の自宅受験を終えた子どもたちや、受験料を払った保護者の方々がいるわけですから。
彼らや私たち塾側の気持ちを考えれば、無下(むげ)に「却下」とは言えないでしょう。だからこそ、あいまいな答え方にせざるを得なかったのであり、それだけ誠実な先生たちだということです。
「あっ、自宅受験の北辰結果は一切見ませんので」と冷たく言い切ることも出来たわけですからね。
何でも白黒ハッキリさせるのがいいとは思えません。今はそれが世の中の風潮だと思いますが
ハッキリさせようとしていいのは、ハッキリさせられることだけです。例えば、政治家の不透明なお金の流れなんかはいいでしょう、調べればハッキリさせられることですから。
でも、今回の北辰テスト@Home に関しては、誰もが初めてのことで、これが今後どんな意味を持つのかなんて、誰にもわからないのです。みんなが困っているのです。ハッキリさせられる人なんて、どこにもいないはずなんです。
それをわかっていて問い詰める・・・私には、質問しているというより、今風に言うならば「マウントを取っているだけ」に見えました。
仮にも、説明会という同じ会場にいて、「場」を共有している一員なわけで、高校側も出席者側も完全に対等な関係です。
会場の準備、検温等の感染防止対策の徹底、資料の準備、かかった経費(会場費だけでなく、足代も飲み物代も出ています)等を考えれば、感謝こそしても、あの質問の態度はなかったんじゃないかと思います。
株主総会で経営者を問い詰めてるんじゃないんだから。
誰もが環境の一員、大げさに言えば、この地球の構成員ですよ。
「そんな説明じゃ、この場にいる誰も納得できる人いませんよ!」と彼は言ってましたが
いやいやいやいや、十分納得できてるから! 勝手にみんなの代表にならないで!
エラそうに言うつもりはないのですが、コミュニケーションにおいては
表面の言葉だけでなく、その裏にある「思い」を読み取る意識を持つ
ことが、私はとても重要だと思います。
それは、俗にいう「空気を読む」ってことだと思います。「空気なんて読むな」と言っている著名人もたくさんいますが、そんなことないです。空気を読むというのも時には大切なこと。日本人ならではの立派な慣習だと思いますね。
本を読む時に、よく「行間を読め」とか言うじゃないですか? あれと同じですよ。
表面的に書いてあることだけではなく、その裏にある作者の葛藤や苦悩を感じ取るように意識して読むのです。文学作品は特にそれが必要。
相手の言葉のウラにある本当の想い、苦しさ・・・ それらを感じ取るトレーニングを日々重ねていくことの大切さを痛感させられた、会場の急激な室温低下でした。
今日の一曲。
まあ、そんなこともあり、対話における「態度」と「言葉を選ぶこと」は大事だな、と改めて感じました。
ストーンズのキース・リチャーズも
「Talk is cheap」(トークなんて安っぽいぜ!) と言ってます。
私が無人島に持っていく名盤の一枚である、キースのソロ1作目「Talk is cheap」より、特にカッコいいこの曲を。何しろタイトルが「お前にはオレを動かせない」ですからね!